もうすっかり冬模様の鹿児島。
アミュプラザにはクリスマスツリー。
街行く人たちはストールやマフラーを身に着けている。
11月22日、いい夫婦の日。
今日は姉の結婚式。
着付けやセットで慌しい女性陣はすでに美容室に行っていて、男性陣のみで、タクシーで式場へ。
式場についても、皆慌しい様子。
そんな喧騒を横目に、落ち着かない気持ちを落ち着けるため、タバコを吸いに一人外に出ると、何か嬉しい気分と、寂しい気分が交差する。
今まで一度も実家を離れたことのない姉。
いつも、母と一緒にいてくれた。
僕等、二人の弟の為に、色々我慢してくれた。
父が亡くなった後、母をいつも支えてくれた。
どんな時も前に進んでいく事を教えてくれた。
願えば夢が叶うことを教えてくれた。
家族の大切さを教えてくれた。
本当の強さを教えてくれた。
不安から救ってくれた。
そんな姉が今日結婚する。
本当に姉を大切にしてくれる人と結婚する。
本当に愛する人と結婚する。
2本目のタバコ。
今、姉は着付けをしている頃。
頭に浮かぶのは、姉の事。
自分の反抗期は無駄に長く、高校から大学まで。
いつも母と喧嘩をして、大学を辞めたいと言った時、側にいた姉にも文句を言った。
どうしようもないくらいふざけた事を口走った。
止められなくなって、止まらなくなって、母と姉を泣かせた。
姉はいつも自分には何も言わない。
また始まったか、という感じで自分の部屋に向かう。
そんな姉を泣かせてしまった。
弟2人のために、進みたかった4年生大学進学を諦めた姉。
そんな姉に向かって口走った、辞めたいという言葉。
姉は泣きながら、どんな気持ちだったかを言った。
その場に耐えられなくなって、自分の部屋に戻って泣いた。
自分が口ばっかり達者でまだフラフラ目標を探していた時、
何かやるべき事がないと壊れてしまいそうな自分は、
家の事、家族の事を考える余裕も何もなくて(今も大してかわらないが・・・)、
姉と母に精神的にも経済的にも負担ばっかりかけていた。
それでも、姉は、自分の生活をしっかり維持しながら、
目標に向かってコツコツ努力し、母の事も、弟の事も守ってくれていた。
その後も22歳から実家を離れている自分に文句一つ言わない姉。
姉のおかげで自分は好きな事を好きなだけさせてもらっている。
今はまだ、姉の為に何もお返しができていない。
白無垢姿。
綺麗な姉。
結婚式での入場、挨拶、プロフィールビデオ、友人代表の挨拶、余興。
母、弟、親戚は涙し、笑い、本当に素敵な時間。
自分は涙もろいと思うけど、今日は泣かないでずっと笑っておこうと決めていた。
衣装をかえた姉をお兄さんの元に連れて行く役目を弟と二人で。
姉の手をとって会場を進む。
亡くなった父はこの披露宴会場にきっときていて、母の横に座っていて、姉の綺麗な花嫁姿をみて涙しながら喜んでいる。
だから、姿のみえない父親の代わりを僕と弟がする。
姉を笑って送りたい。
笑顔で幸せにと言って送りたい。
姉の母への手紙。
皆泣いていたけど、我慢した。ちょっと唇はひきつっていたかも知れないけど。
今日は本当におめでとう姉ちゃん。
綺麗だったよ。
やさしい兄ちゃんができて本当に嬉しいです。
これからは、掴んだ幸せを大事にして、自分の幸せのために頑張ってください。
これからも二人仲良く末永くお幸せに。
そして、皆さん本当にありがとうございました!