2009/10/04

ハナレグミ−光と影






じいちゃんとばあちゃんが住んでいた家。
二人とも亡くなって今はもう天国へ。

今、生きていたら、もっと会いに行って
じいちゃん、ばあちゃん孝行したのになぁ。

二人の話をばぁちゃんの義理姉から聞く。


小さい時両親を亡くして苦労して育ったじいちゃん
ゆったり、誰の文句も一つも言わず
つらい仕事をこつこつしてきた。

自分が小さい時に覚えているのは
夕方帰ってきて、風呂に入り
ばあちゃんやうちの母の話をただ笑顔で聞いて
酒を飲んで、木製のラジオ付き灰皿を傍らにエコーを吸う。
胸が痛くなるほど優しすぎる人

ばぁちゃんは、礼儀正しく厳しい人。
お金に苦労した母の家は、貧しく苦労ばかりだった。
でも、ばぁちゃんは凛として、必死で耐えて生きてきた人。
孫には、優しく、面白いことばかり話をして、自然の事をいろいろ教えてくれた。

4姉妹を授かり、それぞれちゃんと嫁に出した。

ばあちゃんの義理姉は、涙を浮かべて言う。
「今、二人が生きていたら曾孫もできて、会いにきてくれる孫がいて幸せだったろうにね」

墓参りをすると、火をつけたタバコを必ず供える。
エコーではないけれど、ごめんね。


二人が生きていたら
「これ吸ってみるじぃちゃん?」
「よかど、吸ってみろかい」
と笑顔で吸ってくれたはず。
台所では、ばあちゃんが
酒の肴をつくってくれている。



誰もいない二人の家で
じいちゃんの傍にいつもあった、誇りをかぶったラジオ付きの灰皿と
ばあちゃんが扉を開ける音を教える大きな鈴を見つけた。


ふと、これを手元に置いておきたいと思った。
ほこりを払って持って帰ってきた。






今年30歳になる自分。
特に、二人のような苦労はしていない。
それは、じいちゃんとばぁちゃんが、自分のじいちゃんとばあちゃんであったから。




ずっと昔から二人の家に飾ってある

「七転八起」


二人の生き方、自分たちへの励まし。






ハナレグミ−光と影